金融所得課税とは 強化 引き上げ 見直し 岸田首相

「金融所得課税の見直し」発言と日経平均株価

岸田文雄首相が4日の記者会見で、金融所得課税の見直しを検討するとの意向を示しました。

これを受けて日経平均株価は、通常は新しい政権が発足した直後には支持率が上昇する「ご祝儀相場」で応えますが、それが無くなり、
一時は2万8000円を割るまで下落するという異例の「8日続落」を演じました。

そこでこの推移を踏まえて岸田首相は市場に配慮を示し、10日午前のフジテレビ番組で、
金融所得課税について「当面は触ることは考えていない」と発言して見直しを一転先送りしました。

このため、この発言を好感して日経平均株価は11日午前には売り優勢の後、大幅高に転じました。
一時は上昇幅が500円を超えましたが、午前の終値は440円01銭高の2万8488円95銭となりました。

それでは市場に危機感を抱かせた「金融所得課税の見直し」についてまとめます。

「金融所得課税」とは
・株式譲渡益や配当金などの金融所得に課される税金です。
現在は税率は一律20%(所得税15%、住民税5%)です。・この制度は以下の課題を生んでいます。

・金融所得の税率 一律20% 累進的に課税されない 高所得者層は、金融所得の割合が相対的に高いので
株式譲渡益がいくら大きくなっても、税率は20%で変わりません。
・給与所得の税率 累進的に課税される 給与所得が多い場合は所得税の負担率が上昇します。
最高税率は課税所得4,000万円超について設定されている45%です。

・上記の関係から、以下の事が言えます。
・サラリーマンのように給与所得が多く金融所得が少ない場合は所得税の負担率が上昇します。
・金融所得が多い場合は負担率が低下することが起こり得ます。

その分岐点が、年間所得が1億円を超えた時で、これを「1億円の壁」といいます。

つまり、給与所得者(サラリーマン)と金融所得者(高所得者層)の格差を生み出す要因となるこの税率の違いを見直す事が今回の岸田文雄首相の意図です。